ガマムジカアンサンブル コンサート案内
ウィンターコンサート2016
2016年2月7日(日)
会場:アルスホール(つくば文化会館アルス内)
開場 13:00
開演 13:30
入場無料
プログラム
第1部 小編成アンサンブル
サン・サーンス作曲 序奏とロンド・カプリチオーソ
C. C. Saint-Saëns / Introduction and Rondo Capriccioso
モーツァルト作曲 ピアノ四重奏曲 第 2 番 変ホ長調 K.493 より第一楽章
W. A. Mozart / Pf Quartet No. 2 Es-dur K. 493 1st movement
バッハ作曲 カンタータ第211番 BWV211「コーヒー・カンタータ」より
J. S. Bach / Cantata No. 211 BWV211 “Coffee Cantata”
第1曲 レシタティーボ / 第2曲 アリア / 第8曲 アリア / 第10曲 合唱
̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶ 休憩 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶
第2部 弦楽合奏
星組
バッハ作曲 ブランデンブルグ協奏曲第 3 番 ト長調 BWV1048
J. S. Bach / Brandenburg Concerto No.3 G-dur BWV1048
1. Allegro moderato 3. Allegro
ホルスト作曲 ブルックグリーン組曲
G. Holst / Brook Green Suite C-dur
1. Prelude 2. Air 3. Dance
月組
バッハ作曲 下田正彦編曲 教会カンタータによる管弦楽組曲
J. S. Bach / Arr. M. Shimoda / Orchestral Suite Based on Sacred Cantatas
スクリャービン作曲 弦楽のための2つの小品よりアンダンテ
A. H. Скрябин / Andante from 2 Small Pieces for Strings
全体合奏
マスカーニ 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 間奏曲
P. Mascagni / Intermezzo from “Cavalleria Rusticana"
楽曲解説
サン・サーンス Charles Camille Saint-Saëns (1835-1921)
序奏とロンド・カプリチオーソ
サン・サーンスという人はなかなか気難しい性格の持ち主だったようですが、パブロ・サラサーテは彼と親しく、一緒に演奏旅行に出掛けたりしていました。サラサーテはサン・サーンスの 9 歳下でバスク地方出身の音楽家。こんにち「チゴイネルワイゼン」や「カルメン幻想曲」の作曲家として知られていますが、優れたバイオリストでもありました。サン・サーンスは「序奏とロンド・カプリチオーソ」を 1863 年にバイオリンと管弦楽のために作曲しサラサーテに献呈しました。初演はサラサーテの独奏、サン・サーンスの指揮で行われたそうです。サラサーテに因み、本作品では きらびやかなスペイン舞曲風の旋律が展開され、他の多くのサン・サーンスの曲とはやや趣が異なります。本日演奏するピアノ伴奏版は「カルメン」や「アルルの女」の作曲者であるビゼーによって編曲されたものです。 (K.D.)
モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
ピアノ四重奏曲 第2番変ホ長調 K.493 より第一楽章
モーツァルトは 30 歳のとき、オペラ「フィガロの結婚」と前後して、2 曲のピアノ四重奏曲を作曲しました。第 1番はト短調の厳粛で情熱的な曲です。対照的に今回演奏する 第 2 番は変ホ長調。変ホ長調は華やかで楽しげ、かつ豪華、「青空の調」とも呼ばれるそうです。冒頭、弦三部が長い音を弾いている中、ピアノの左手が八分音符を刻みます。そして一小節ごとの和音の移り変わりに伴って気分も高揚していきます...この最初の数小節を聞いて私がイメージしたのは「青春!」女子高生が主人公の青春ドラマ、彼女の恋と成長のストーリーです。朝、海辺の道を自転車で急ぐ主人公、空はどこまでも青く、海は初夏の日を受けてキラキラ輝いています... 音楽を聞くだけで、想像(妄想!?)の世界へと旅立つことができます。我々の演奏が、皆さんの想像力を刺激できますように。(A.N.)
バッハ Johann Sebastian Bach (1685-1750)
カンタータ第211番 BWV211「コーヒー・カンタータ」よりレシタティーボ、アリア、アリア、合唱
コーヒー・カンタータ『おしゃべりはやめて、お静かに』(BWV211)はバッハのライプツィヒ時代の作品で、1735年頃に作曲されました。1725年、聖トーマス教会カントールとしてライプツィヒに移ったバッハは、ロ短調ミサ曲、マニヒィカト、マタイ、ヨハネ受難曲等、多くの宗教曲を作曲していますが、世俗的な作品も数多く残しています。特に、1729年コレギウム・ムジクム(Collegium Musicum) の指揮者に招かれてからは積極的に世俗音楽の演奏に取り組んでいました。毎週金曜日にはライプツィヒのカタリーネン通りにあるツィンマーマン・コーヒー店で、彼自身による世俗カンタータとか器楽合奏のコンサートを1740年の初頭まで続けていたようです。コーヒー・カンタータは、バッハが最もオペラに近づいた曲として知られ、ソロ中心で、小編成の室内オペラといった趣があります。当時流行していたコーヒーのとりこになった娘と、それを何とか止めさせようとする父親との駆け引きをコミカルに描いた音楽劇で、ナレーター (Recitativo ) 部分を含めて全10曲で構成されています。今回は、曲のタイトルにもなっている台詞から始まる、第1曲レシタティーボ、父親シュレンドリアン氏(ファゴット)による第2アリア、したたかな娘リーシェン(フルート)による第8アリア、最後にコーヒーを讃える第10曲合唱の4曲を演奏します。(M.U.)
バッハ Johann Sebastian Bach (1685-1750)
ブランデンブルグ協奏曲第3番 ト長調 BWV1048 より第1楽章・第3楽章
ブランデンブルグ協奏曲6曲は1720年頃、ブランデンブルグ公の宮廷音楽師であったヨハン・セバスチャン・バッハが公の依頼で作曲したとされています。第3番は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが主体的に演奏することが他と異なっています。第6番も弦が主体ですが、こちらはヴァイオリンがなくてヴィオラ、チェロにヴィオラ・ダ・ガンバが入る編成、その他の4曲には管楽器が含まれます。そして第3番第1楽章では、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロがそれぞれ3つのパートで演奏されます。今回は演奏しませんが、第2楽章アダージオは、『フリギア終止』と呼ばれる二つの和音からなる一小節のみが楽譜に書かれています。市販のCDの中にはバッハの「トッカータ」の一部を取り入れたものや、アドリブ演奏の『カデンツァ』が入ったものもあります。第3楽章は、ヴァイオリンとヴィオラは引き続き3つのパートからなりますが、チェロは1パートで高音部を追奏するかたちになります。(E.M.)
ホルスト Gustav Holst (1874-1934)
ブルックグリーン組曲
ブルックグリーン組曲は、セントポール組曲と同様にホルストが勤務したセント・ポール女学院の弦楽オーケストラのためにかかれた曲であり、ホルスト最晩年の曲です。翌年の1934年にセントポール女学院の弦楽合奏団により初演され、その僅か2ヵ月後にホルストはなくなりました。曲名のブルックグリーンとはセントポール女学院の所在地ロンドン、ハマースミス地区の地名です。曲は1. 前奏曲、2. アリア、3. 舞曲の3楽章からなります。穏やかに滑らかに前奏曲が始まり、アリアでは田園風景を連想させるどこか懐かしいようなメロディが出てきます。舞曲は明るい溌剌としたジーグのリズムが心地よい軽快な曲です。それぞれ全く違う曲想でありながら、共通してイギリス民謡色を感じます。 (Y.S.)
バッハ Johann Sebastian Bach (1685-1750) (下田正彦 編曲)
教会カンタータによる管弦楽組曲
教会音楽家としてのバッハの仕事は、毎日曜日の礼拝に教会カンタータ(宗教的な題材による独唱や合唱を伴う管弦楽曲)を作曲上演することでした。数年間、ほぼ毎週新作を発表した結果 200 を超える教会カンタータが残されました。その量産ぶり以上に、楽曲の多様性・芸術性の高さは驚嘆すべきものです。教会カンタータは、アリアやコラールといった声楽曲が主体ですが、独唱が協奏曲のソロ楽器のように扱われる器楽曲的要素の強い楽曲が多数含まれています。今回そのなかから5曲を選び、管弦楽組曲として編曲編集しました。第1楽章は、ソプラノ独唱の名曲として知られるカンタータ第51番の第1曲アリアです。独唱(ソロヴァイオリンが担当)とトランペット独奏(フルート)の2重協奏曲風の大変華やかな曲です。第2楽章は、同カンタータ第4曲のコラールで、独唱パートはヴィオラとフルートがユニゾンで奏します。ヴァイオリン群のオブリガート(独唱の主旋律に対し伴奏楽器で奏される競奏的な旋律)が印象的です。休みなく奏される第3楽章は同カンタータ第5曲のアリアで、第1楽章同様の2重協奏曲風でアレルヤを歌い上げます。第4楽章は、カンタータ第82番の第3曲アリアです。バスのソロによる美しいアリアをヴィオラで奏します。終楽章は、フィナーレに相応しい晴れやかなシンフォニアです。長大なカンタータ第75番の中間に置かれた純粋な器楽曲です。弦合奏のフーガの上にフルートのコラール風のメロディが重なります。(M.S.)
スクリャービン (1872-1915)
弦楽のための2つの小品よりアンダンテ
スクリャービンは19世紀末から20世紀初頭のロシアの作曲家です。モスクワ音楽院での同級生にラフマニノフがいたということで、時代は分かると思います。ラフマニノフやストラビンスキーのように今日でも盛んに演奏会に登場する作曲家とは違い、ピアノ曲を数多く作曲したスクリャービンは馴染みのない人も多いと思います。私の場合は、40年ほど前に友人の家で聴いたホロヴィッツのレコードでの、ショパンを近代風にしたようなピアノ曲の印象(良い印象でした)がかすかにあります。実際、スクリャービンの作風はショパンのようなものから「神秘主義」へと変容し、無調音楽など近代音楽への道を作ったと言われています。この「アンダンテ」は、初期(1890年頃)のスケッチを後の人が編曲したものということで、変容する前のロマンティックな香りのする小品です。(H.K.)
マスカーニ Pietro Mascagni (1863-1945)
歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 間奏曲
「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、イタリアの小説家、ジョヴァンニ・ヴェルガによる小説および戯曲を基に、マスカーニが作曲したオペラです。すれ違いの恋とか、一人の女性を巡る男達の決闘など、オペラには多いと思うのですが、カヴァレリア・ルスティカーナも、そのようなあらすじのオペラです。この間奏曲の原曲は、ハープ、オーボエ、フルート及び弦楽などで構成されていますが、私達はハープをピアノに置き換えて演奏いたします。コマーシャルなどにも使われる、ポピュラーな美しい曲で、どこかで聴いた事があるかと思います。エンディングとして、私どものコンサートを最後まで聴いて下さった皆様に、感謝の気持ちをお届けできたら幸いです。(m.s.)
ごあいさつ
ウィンターコンサートにお越しいただきありがとうございます。ガマムジカアンサンブルは、毎週月曜の夜と金曜の午前に竹園交流センターに集まり、合奏を楽しみながら、それぞれ年2回のコンサートに向けて練習を重ねています。月曜の月組はメンバーの発意と自由な発言で音楽を作り、金曜の星組は今回啼鵬先生に指導をお願いしました。どちらのやり方にもそれぞれの難しさがありますが、音楽を創り上げる喜びは同じだと思います。拙い演奏ですが、音楽の魅力と演奏の喜びを皆様に少しでもお届けしたいと思います。